本研究の目的は、プレキャストコンクリート部材に生コンクリートを打ち継ぐ際に接着剤を塗布したコンクリート接合面部材の暴露試験を行い、その後、接合面におけるせん断破壊実験を行うことで、接着剤の強度の経年劣化、特に凍結融解に関わる劣化について明らかにすることである。 今年度の研究実績は次のようである。 1.昨年度に行ったコンクリート試験体の接合面形状の測定により得られた接合面形状データについて、フーリエ解析を行った。その結果から、接合面処理の違う試験体についてのフーリエスペクトルを得た。接合面処理は、金ごて処理、刷毛引き処理、遅延剤処理の試験体について行ったが、それらの特性を良く表している結果であった。さらに、過去に測定、解析された、コンクリートの引っ張り破壊面での形状データとも比較を行った。 2.凍結融解をした場合との比較のため、既に8体については、暴露試験を行わずにせん断破壊実験を行った。そのうち2体の試験体については、実験時のトラブルのため、計測が出来なかったが、その他の試験体については、計測データが得られた。具体的な、計測データの分析については、今後行う予定である。 研究成果としては、まだ途中段階であり、研究発表は次年度以降になる予定である。 本年は、試験体の凍結融解試験を行い、上記1で得られた接合面形状のデータと、上記2で得られた接合面におけるせん断強度との関係、また、それらと凍結融解の関係について、実験データを整理し、それらの関係性について明らかにしていく予定である。
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