研究概要 |
今年度の研究は,まず新規に開発した拘束ひび割れクリープ試験装置の稼働調整を行った。この拘束ひび割れクリープ試験装置は,試験装置に固定したコンクリート供試体に対して,アンプ付きパルスモーターを介したボールスクリュージャッキにより載荷応力を伝達するものである。装置のパルスモーターを,トリガー荷重あるいはひずみでモニター制御することにより,変動応力負荷または一定応力負荷を自由に与えることができるか検討し,うまく作動することを確認した。また,自由収縮ひずみをモニターすることにより,拘束率0〜100%の拘束引張実験を行うことができるか検討し,うまく作動することを確認した。さらに,アンプに一定荷重値として近似できるごく狭い振幅範囲のトリガー荷重の信号を送ることにより,一定応力負荷による引張クリープ実験や,超低速の歪み増分をモニター制御することにより,時間依存性を模擬した変位制御型直接引張試験ができるか検討し,うまく作動することを確認した。 ついで,拘束ひび割れクリープ試験装置を使って,ひび割れ抵抗性を測定するための自己充填性を有するハイブリッド・ファイバー・コンクリートの開発を行った。極短繊維と短繊維のPVA繊維を組み合わせ使用するとき,ワーカビリティーは重要であり,どのような組み合わせで自己充填性を保持するのかフレッシュ性状を検討した。その結果,ハイブリッド・ファイバー・コンクリートに対するスランプフロー・ダイアグラムによるフレッシュ性状評価手法を開発することができた。 現在,ハイブリッド・ファイバー・コンクリートの拘束ひび割れ抵抗性を実測するため,拘束ひび割れクリープ試験装置による実験を実施している状況にある。
|