研究課題
阪神・淡路大震災では、鉄筋コンクリート(RC)建物の新しい地震被害として、柱・梁接合部のせん断破壊が注目された。被災後の詳細な調査によると、柱・梁接合部の被害は、(1)1982年以降の現行設計規定により設計施工された、(2)中高層の純ラーメン形式の建物に多くみられ、また、その形状は、(3)梁が柱に偏心して取り付いた柱・梁接合部(偏心柱・梁接合部)が多いという特徴が挙げられている。これに対し、最近のRC耐震設計指針(1997)やRC構造計算規準(1999)では、主に偏心のない柱・梁接合部を対象としており、偏心柱・梁接合部の耐震設計については設計用せん断力を適切に割り増すなどの間接的な規定に留まり、実務設計上早急な対策が望まれている。本研究では、RC偏心柱・梁接合部の耐震性能を把握するため、偏心ねじりモーメントが柱・梁接合部のせん断耐力劣化に与える影響について3次元非線形有限要素法(3-D FEM)により検討を行う。また、3-D FEMによるパラメータ解析を行い、解析から得られる柱・梁接合部周辺のコンクリートや鉄筋の応力、ひずみ状況の詳細な考察から柱・梁接合部の応力伝達機構を解明し、更に応力伝達機構に基づいた合理的な柱・梁接合部の耐震性能評価法の開発に寄与することを目的とする。本年度は、接合部せん断耐力に与える偏心量の影響をより明確に把握するため、梁主筋の材料強度を上昇させて梁を相対的に強くした、接合部せん断破壊先行型の仮想試験体を作成した。更に、本研究の一環として昨年度開発を行った高精度3-D FEMプログラムを用いて、前述の仮想試験体のパラメータ解析を実施した。パラメータ解析の結果から、偏心に伴う接合部内水平断面でのせん断応力成分や接合部入力せん断力の変化を検討し、偏心接合部の有効幅や3次元コンクリート圧縮ストラットなどの応力伝達機構に基づいたせん断耐力低減モデルについて考察を行った。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
International Association for Earthquake Engineering Proc. of the Thirteenth World Conf.on Earthquake Engrg.
ページ: 1354-1-1354-7
日本コンクリート工学協会 コンクリート工学年次論文集 26・2
ページ: 211-216
ページ: 457-462
ページ: 607-612
日本建築学会 2004年度大会(北海道)学術講演梗概集 構造IV・C-2
ページ: 783-784
ページ: 771-776