研究概要 |
本年度に遂行した研究及びその成果は以下のとおり. I 各要素材料の性能劣化予測モデルの構築 平成15年度に引き続き,要素材料試験を継続し,維持保全計画策定のための劣化予測を行うため,以下の項目に関する検討を行った. i)二酸化炭素,水分などの外部作用因子に対する外装材の劣化因子遮断性の評価 反応消費項を考慮した非定常拡散モデルによるコンクリートの中性化予測システムの構築を行った.中性化抑制効果を有すると考えられている仕上材あるいは補修材について,拡散モデルに基づく中性化抑制性能の定量的評価手法の構築を行った結果,本手法により既往の促進劣化試験を良好に模擬することが可能であり,精度の高い劣化予測が可能であることを示した. ii)ポリマーセメント系補修材の劣化因子遮蔽性能,付着性能の評価と,耐久性に関する検討. ポリマー含有率や基板コンクリートの表面粗さ及び吸水率が付着強度に及ぼす影響を評価するため,様々な角度の圧縮-せん断試験と引張-せん断試験を行った。その結果,圧縮-せん断荷重を受ける部位の補修は,力学的な強度が高い補修材料を,引張-せん断荷重を受ける部位の補修は,付着力が高い補修材料を使用するのが望ましいと言う結論が得られた。あわせて,補修材の保水係数や基板の粗さの影響も検討した。 iii)シート系補修材の付着性能の評価 劣化したRC造建築物のかぶりコンクリート片の剥落を防止する目的として使われる連続繊維シートの力学的性能と耐候性能を評価するため,促進劣化をさせながら一連の実験(引張試験,1軸引張せん断試験,押抜き試験)を行い,面内せん断,面外付着引張り,引き剥がしの3種類の破壊形態を想定したシート系補修材料の性能評価モデルの構築を行い,ある程度妥当な評価が可能であることを示した. II 維持管理手法としての体系化 これまでに得られた成果を元に,鉄筋コンクリート造建築物の維持保全計画策定法を,多基準最適化問題と捉えた場合の汎用遺伝的アルゴリズムの適用によるシステムの構築を行い,本手法の有効性を確認した.
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