研究概要 |
平成16年度は,引き続き地震動入力時の応答スペクトル法による応答評価手法の開発を行った。また,応答評価にはダンパーの時刻歴解析モデルの開発も不可欠で,高精度な粘性ダンパーの構成則および解析モデルの開発も行った。 1.モーダルアナリシスに基づく応答評価これまでは動的応答をモードに分解し,それらを減衰振動と剛体振動に分類して応答評価を行っていたが,この分類方法にあいまいさを残していた。そこで,通常,ホワイトノイズを想定して決定されるCQC法の重み係数を,地震波のスペクトルを2つのパラメータで模擬する手法を採用したところ,前述の減衰振動,剛体振動といった分類を考慮することなく,通常のCQC法と同じ単純な組合せ手法が適用可能であることがわかった。この成果は,第13回世界地震工学会議にて発表した(ポスターセッション)。 2.ダンパーの構成則モデル対象とする空間構造へのダンパーの適用は,主に粘弾性ダンパーを想定しているが,実際の設計でより需要の多い粘性ダンパーについてもモデル化を試みた。時刻歴解析のためには粘性体の温度・振動数・振幅依存性を再現できる精密な解析モデルが必要となる。この材料に実績のある分数微分モデルの適用を試みたところ,温度・振動数依存性を高精度に再現できることがわかった。さらに振幅の変化に伴い,モデルのパラメータを変化することで,振幅依存性までも再現することができた。
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