研究概要 |
1999年コロンビア地震や2002年エルサルバドル地震などによる建物の被害調査の結果,開発途上国で現在建設中の組積構造建物の耐力壁に多用されている枠組組積造壁体(組積造壁体周辺を場所打ち鉄筋コンクリート造の柱と梁部材等で補強する構造方式)において,粘土焼成れんがや空洞コンクリートプロックによる無補強組積造壁体部分が組積造壁体周辺の場所打ち鉄筋コンクリート造柱から完全に分離・剥落し,上部構造の落下など地震被害を大きくしていることが徐々に明らかになってきた。本研究はこのように組積造壁体が場所打ち鉄筋コンクリート造の枠部材からから分離し脱落するメカニズムを明らかにするとともに,このような現象を防止するための補強法について検討することを目的としている。 平成15年度は研究の初年度にあたり,一定軸力下において2方向の水平加力実験が実施できるように,現有の1方向加力実験装置の改良設計と製作を行った。具体的には,現有のジャッキに直交する方向に新たにジャッキを追加し,これら2本のジャッキにより試験体に加力を行うための鉄骨フレームを取り付けた。その後,4体の直交壁を有する3次元組積造壁体試験体を製作し,予備実験として2方向から同時加力により45度方向に変位する水平加力実験を行った。その結果,製作した実験装置の動作確認と修正点を把握することが出来た。また,予備実験ではあったが,2方向載荷実験により得られた枠組組積造壁体試験体の耐力と変形性能を過去に行われた1方向載荷のそれらと比較検討を行った。
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