研究概要 |
PCaPC圧着接合された柱・梁接合部内には通し配筋される梁主筋がPC鋼材のみであるため,入力される応力の流れをRC造柱・梁接合部の場合より単純に評価できるため,実現象に近い状況となる3方向外力を受けるPCaPC圧着接合された柱・梁接合部の破壊メカニズムを解明することは,コンクリート系柱・梁接合部の破壊メカニズムを統一的に理解し,耐震性能を総体的に向上させる為の重要な資料を提供することに大いに寄与できると考える. 試験体は3体を計画する.柱・梁接合部の4面,3面および直交する2面に梁が貫入する試験体を1体ずつとする.これは実際の建物の内柱,側柱および隅柱を想定したことになる.これによって直交梁の拘束効果が接合部破壊のメカニズムに与える影響を定量的に把握できる.試験体の寸法は東京都立大学で行ってきた既往の実験研究との連続性を考慮して,試設計建物(11層純フレーム構造)の3,4階部分の柱と梁を参考に縮尺2/5程度とし,柱断面を350mm×350mmとし,梁断面を250mm×400mm,階高を2830mm,梁スパン3200mmとする.梁部材から柱・梁接合部へ入力される応力の流れを単純にする為にスラブは付けない.柱・梁接合部のせん断破壊を先行させる為に柱主筋には高強度鉄筋を使用し,コンクリート圧縮強度は,柱を30MPa,梁を60MPa程度とする.なお,PC鋼材は梁断面内上下一本ずつの配筋とし,柱軸力は圧縮一定とする. 実験によって柱・梁接合部の力学的挙動を把握する.静的繰り返し載荷による破壊過程を詳細に観察するとともに,主筋・せん断補強筋のひずみやコンクリートの局所的な変形などを詳細に調査する.接合部の復元力特性を調べることによって,変形性能を定量的に把握する.これによって,接合部を含めた骨組の靭性能を適切に評価できる.
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