研究概要 |
構造物の応答を正確に推定するための重要なパラメータの1つである減衰定数は理論的な推定方法がないため、実測資料に基づいて推定されるが、同定手法によって結果が大きくばらつくことがある。そのことを踏まえて今年度は、下記の作業を行った。 ・従来の減衰定数を推定する手法(ハーフパワー法、伝達関数法、1/√<2>法、位相勾配法)の適用範囲および精度を検討するため、2種類の模型を作製して常時微動計測を行い、従来の手法の問題点を明らかにした。 ・減衰データベース再構築のために、制振装置を有する住宅の常時微動実測を新規に行い、加速度データを蓄積するとともに、減衰定数の評価を行い制振装置の効果を確認した。 ・高さ230mの超高層鉄塔の強風時の応答実測を行い、減衰定数の振幅依存性および常時微動時の減衰定数との違いを明らかにするとともに、同調質量ダンパーの効果を確認した。 ・すでに蓄積されている実測データを用いて、RD法およびFDD法により得られる振動特性のばらつきについて検討した。 ・鉄塔の応答の常時計測を行い、風速レベル毎の振動特性について検討を行い、得られた結果より、構造減衰および空力減衰の切り分けについて検討を行なった。 ・MDOF-RD法の精度の検証および各種解析との比較検討を行なった。 ・Ibrahim Time Domain Method(ITD法), Hilbert Transform Method, Wavelet Transform等の新しい解析手法について調査し、適用範囲および解析手洗の検討を行なった。
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