研究概要 |
本研究では,木造住宅の壁量と耐震性を把握するために,木造住宅の設計図書を元に作成された208棟の解析モデルを用いて,地震応答解析を行った.解析に際しては,床を四辺形要素,耐力壁および雑壁を等価なせん断バネに置き換え,Bilinear型とTri-linear型の和で表される材料非線形性を導入した.その結果,以下の事が判明した. 1.床の剛性を変更しても,木造住宅で考えられる範囲内の床剛性では,建物の1階最大変位応答はあまり変化しない. 2.耐力壁の配置位置から得られる壁線を用いて,解析自由度を減少させた場合(以下,簡易法)の1階最大変位応答と解析自由度を変更しない(精算法)1階最大変位応答には,相関性が見られる.しかし,その比は,最大地動速度に依存する.また,簡易法で精算法の下限を示す場合にも最大地動速度に下限式が依存するため,簡易法の利用価値は無いと判断できる. 3.2質点系の最大変位応答と精算法の最大変位応答の比は,偏心率が0.3以上であると偏心率に比例して増加するが,偏心率が0.3以下であると,比は偏心率と無関係になる.また,2質点系の最大変位応答と精算法の最大変位応答の比は,地震動の種類,最大地動速度の違いによらず,1.0〜1.5倍の間にある.従って,木造住宅の最大変位応答は,2質点系最大変位応答に変形割り増し係数を乗ずれば良い. 4.最大地動速度を50cm/sとした場合,エルセントロ波NS成分,八戸波EW成分,タフト波EW成分,JMA神戸NS成分,鷹取波NS成分に対する最大変位応答は,JMA神戸NS成分に対する最大変位応答がほとんどの建物で最大となった.
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