研究概要 |
建物屋上,屋根面における熱収支,放射収支の定量的な評価を行った.神戸大学大学院自然科学総合研究棟3号館の屋上に設置されている屋上被覆実験スラブにおいて,現実に考えられるヒートアイランド対策として屋上緑化,高反射率塗料を施工し,表面熱収支の相互比較実験を行った.特に日射反射率,放射率といった放射収支の特性に注目し詳細な解析を行った.具体的には,放射収支計により上下方向の短波,長波放射量を測定した.更に実験施設の施工段階において埋め込んでいた熱流板のデータを利用し各表面での熱収支を考察し,熱収支の残差より顕熱フラックスを算定した.これらの測定により,各種表面における日射反射率,放射率などの基本的なデータベースが整理された.上記の詳細測定は夏季に集中して実施したが,様々な被覆技術が年間を通して外部環境及び室内環境に及ぼす影響についても把握する必要があるため,年間を通した連続測定を継続し,夏季以外の季節にどのような影響が生じるかという点についても検討を行っている. また,屋上面から発生する顕熱フラックスが,周辺市街地および都市のヒートアイランド現象に対してどのような影響を及ぼすかという点に注目し,定量的な解析を行った.建物の屋上や壁面,道路面から発生する顕熱フラックスと空調機の室外機や自動車などから人工的に排出される人工排熱をそれぞれ算定し,地表面の熱収支モデルと大気の熱拡散モデルを達成させた計算に入力し,それぞれの成分が周囲の気温と都市のヒートアイランド現象に影響する様子を数値シミュレーションにより検討した.
|