研究概要 |
本研究の目的は,熱源インバータ制御の導入効果を明らかにすると同時に,それによって空調システム全体の運用に関わる省エネ性熊を格段に向上させ,様々な条件下での実効的な運用方策を技術資料として作成・提示することである。本年度の研究概要は以下の通りである。 1.高度システムシミュレーションプログラムの開発 従来の熱バランス型システムシミュレーションではなく,空調システムの運用方策に直接関与する制御パラメータ等も考慮できるような,建物系・空調系・熱源系・制御系をトータルに扱う高度システムシミュレーションプログラムのプロトタイプを開発した。このプログラムを簡易な建物・空調システムモデルに適用し,空調における分秒単位のシステム挙動と,熱源機器の制御方法の違いがエネルギー消費量に与える影響について検討を加えた。これにより,空調システムの省エネ運用方策を提示する際の有効なシミュレーションツールとして発展・改良させることができることが確認された。 2.実測による熱源インバータ制御における省エネ効果の把握 システムシミュレーションプログラムを用いて省エネ効果の高い運用方策を予測し,実測により熱源インバータ制御の省エネ効果を定量的に把握した((株)山武環境技術センター)。また,熱源インバータ制御をシミュレーションに反映させるためのインバータ特性実験を行った。従来型運用と比べ,熱源インバータを用いた最適運用(非蓄熱システムの場合)では,熱源COPが3.04から3.54,1次側システムCOPが2.06から2.98と大きく向上させることができることを明らかにした。冷房期間を通じたシミュレーション評価でも約20%の効率向上が図れることを確認した。
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