日本政府は、国内の長期経済の減退から回復することを目標の一つに掲げ、都市再生、地域再生の法整備を行い、国家プロジェクトとしてここ数年緊急に調査が進められている。こうした背景の下に、海外の関連分野調査を行うことは必須であり、本科研の研究目的となった。 本科研では、中でもこの分野で先進国であるイタリアおよびフランスの取り組み事例を分析することが課題であるが、それぞれ現地調査を含め、順調に調査が行われた。それらの成果として、イタリア都市再生関連法令および都市再生プログラムに関する部分を、日本都市計画学会大会(宇都宮大学、2003年11月)において、日本都市計画学会都市計画論文集no.38、pp.325-329、「イタリアの都市再生及び持続可能な広域開発プログラムと複合プログラムに関する制度の研究、-法律、省令、州法、プログラム分布、評価について-」として、発表した。 また、2003年12月1-2日においてローマ大学に招聘され、シンポジウム「東洋の近代都市」を開催し、日本の都市再生事業と歴史的環境整備の歩みに関する講演発表を行い、さらに日本、中国、イタリアの都市再生との比較議論を行い成果を上げた。 一方、フランスの都市再生法に関する本年度調査の研究成果を、日本都市計画学会都市計画報告集no.1 pp.78-83、「フランスにおける都市連帯と都市リニューアルに関する法律(SRU法)の一考察、-都市計画法典(2001)、ヴォアネ法(1999)、シュベヌマン法(1999)、SRU法(2000)の関連性に着目して-」として発表した。さらに、フランスの新しい都市計画法規に関する本年度の研究成果を、日本建築学会大会(中部大学、2003年9月)において、「フランスにおける『まとまりのある広域計画SCOT』に関する一考察、-SCOTの策定と承認プロセスに着目して-」として発表した。
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