研究概要 |
本研究では,戸建て住宅の長寿命化に向けて,デザインスタイルの可変性の実態と目指すべき方向性について考察することを目的としている。特に可変性のポテンシャルが高いと思われるハコ型住宅に注目し,居住者の働きかけによるボリューム構成及びファサードの変容プロセスを解明したうえで,デザインスタイルの可変性を組み込んだ長寿命住宅のモデルスタディを行う。 平成15年度には,下記の調査・分析を実施した。 1)住宅商品史のなかでのハコ型住宅のデザインスタイルの変遷の把握:まず,過去のハウスメーカーのパンフレットや雑誌等の文献調査により,戸建て住宅の商品史のなかでのハコ型住宅のデザインスタイル,特にボリュームの構成とファサードのテクスチュアの変遷について把握した。その結果,傾斜屋根の住宅は住宅の形態自体が流行と密接に関係しているのに対して,箱型の住宅は,外観の変化はファサードの素材・ディテール等の変化が主であり,よりデザインスタイルの可変性が高いことが明らかとなった。 2)沖縄のRC住宅における増築とボリューム構成の変化に関する実態調査:沖縄のハコ型住宅を対象に,居住者へのヒアリング,住宅の実測などの実態調査を行うことにより,増改築の実態,居住者の手法選択のプロセス等を明らかにする。今年度は,沖縄本島内の複数の戸建て住宅地を対象とした予備調査を実施すると共に,住宅供給公社,民間業者等の開発業者に対するヒアリングを実施した。さらに,本調査対象地を選定し,地域組織への調査依頼とヒアリング調査,居住者に対するヒアリング調査,地図・航空写真等の収集を行った。 3)モデルスタディに向けた予備的考察:最終成果物となる可変型住宅の提案へむけて,初期モデルの設計を行った。その結果,通り側のファサードの位置のコントロール,隣棟間の空地の領有など,今後の調査・考察において特に注意深く考察すべき点が明らかとなった。
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