研究課題
平成16年度は、多目的スペースの利用実態をより多魚的に調査・分析するとともに、学校ときわめて似た空間計画のコンセプトがみられるオフィス空間の動向を調べた。1)多目的スペース利用実態調査前年度の実態調査対象校から典型例と思われる学校を選び、教室・多目的スペースの利用実態について中高学年を対象として観察調査を実施した。平常授業時には個別学習が早く終わった児童が読書をする時や、教室移動の際の集合場所として多目的スペースは使われていたが、学習活動が展開する場面はなかった。しかし、教室内で机を何度か並べ替えて種々の学習形態が行なわれていた。家具配置を詳細に分析すると、図書や学習資料、工作道具等の頻繁に活用されるリソースは教室内の教員机から死角にならない範囲に注意深く配置されていることが明らかになった。前述の、様々な学習活動にも教室内で対応していることと併せて、教室内あるいは教師の目の届く範囲内に学習展開を収めようとする傾向が明らかになった。2)オフィスデザインの動向先進的オフィス事例の視察とヒアリングを行った。空間計画とワークスタイルについて、固定席をもたないフリーアドレスシステムの採用、オフィス内に多様な居場所を設けること、ITを活用して社内社外を問わず仕事場にする、という共通の特徴があり、活動場所の流動化と分散化が起きていることが分かった。学校とオフィス共に、先進事例における空間と活動スタイルは、自ら課題を発見する、自ら学習/仕事を進める生徒/ワーカーを前提としている点では、自由度の向上と自己管理の強化という同じ方向性を示している。オフィスの方にその傾向がより顕著な形で体現されているが、学校ではオープンスクールの形で物理的環境の普及が先行しているものの、実際には空間の分散化それほど進行していないという違いがみられた。
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日本建築学会学術講演梗概集E-1 2004年
ページ: 87-88
LAPS2004:18th Conference of the International Association for People-Environment Studies, Vienna, Austria (CD-ROM出版物)