本年度は、既存研究および各種統計資料をレビューするとともに、京都、東広島を中心に民家、町家、在来木造住宅の類型化および抽出を行い、調査対象住宅を選定した。その後、建物特性、居住履歴、居住者属性、ライフスタイル、住意識、維持管理行為などについて、現地調査および聞き取り調査により分析を行った。 既往研究・文献レビューでは、広島県、中国地域に分布する伝統的な民家、町家に関する関連文献・図書の収集を行った。また関係する研究者や実務経験者などに対する聞き取り調査を通じて、既往研究における論点、課題、研究手法等の整理を行った。 また京都、東広島における木造住宅事例の類型化と抽出においては、既往研究や文献、現地観察などを通じて、建物特性、居住者特性の把握を試みるとともに、調査対象地域における民家、町家、および在来木造住宅の事例抽出を行うとともに、事例毎の建物特性、居住者・利用者属性、計画・設計プロセス、細部意匠・工法などの項目について、主に実務経験者への聞き取りを通じて情報の収集・整理を行い、居住プロセス、建物の改変、維持管理行為の基礎的資料を得た。 さらに、これまで共同して調査活動を行ってきたNPOのメンバーと協働しながら、京都を中心に全国的に活動を行っているNPO法人古材バンクの会での研究メンバーとともに、これまでの調査経験を元に、木造建物の長期耐用化を実現する上での設計上、施工上の課題について検討を行うとともに、京都、中国地方における伝統的木造建物の再生事例の現地視察を行い、住宅生産システムおよび維持管理行為と、建物の長期利用の関係について基礎的資料を得た。
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