今年度の研究は、まず阪神・淡路大震災の被災地域に関するデータの収集を行っている。具体的には、1995年・2000年国勢調査の小地域統計、1993年・1998年住宅統計調査、1996年・2001年事業所統計といった統計関係と、建築学会・都市計画学会が合同で行った被災地の建物被害調査の被害度の町目集計、さらに1995年4月時点の航空写真および2000年10月時点の被災地写真のデジタル化といった被害度関係、さらにその後の仮設住宅建設時期と立地場所・戸数、復興住宅建設場所と立地場所・戸数について情報を収集した。これらのデータについて地理情報システムを利用して各データを重ね合わせ、位置情報と共にデータベースを作成した。このデータベースを用いて、数値データの変化が都市変容に与える影響を分析している。 さらに、1995年〜2003年に発表された都市計画に関係する各学会の論文を収集し、時系列で整理すると共に、調査データや結果データが地理的条件によって規定されているものを抽出し、GIS上にてリンクを張る作業を行い、上記同様にデータベース構築を行った。ここからは学際的な視点から見た都市変容のあり方を分析している。 分析にあたっては統計的手法を用い、因子分析・クラスター分析を行うことにより、被災後の都市がどのような種類に類型化できるか、またそれぞれがどのような特徴を有しているかを明らかにしていく。さらに、今後この結果に潜む背景として考えられる政策的特徴や地理的特性、都市計画決定時期や内容などの要素を、説明要因として組み込むことで、阪神・淡路大震災以後の被災地の都市変容について全体像を明らかにする。
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