本年度は4月から7月にかけて本研究に関連する文献の収集を行い、文献の読み込みを進めた。7月には『人環フォーラム』13号に論攷が掲載された。これは台湾原住民ヤミ族の儀礼のときに現れる住まいと路との関係について論じたものである。8月には『CASニューズレター』119号にフォーラム『YAMI文化研究の一世紀』で発表したものの概要が掲載された。これはヤミ族が住まいを1門主屋から4門主屋へと拡張していく意味について論じたものである。 そして、8月7日〜22日にかけて台湾での現地調査を行った。本調査では屏東県を中心に台湾原住民ルカイ族の集落や家屋に関しての調査を行った。徳文村と霧台村ではわずかに残る伝統的石板家屋の調査を行った。好茶村では豊年祭が行われており、その調査を行うとともに、旧好茶村で行われる猟人祭の調査を行った。また、旧好茶村に多く残されている伝統的石板家屋の調査を行った。台北においては中央研究院民族学研究所や南天書局において台湾原住民関係の文献資料を収集した。 9月には名古屋で開かれた建築学会大会において研究発表をおこなった。これは『人環フォーラム』において発表した論攷をもとに練り直したものである。また、10月には『自然と文化』73号に論文が掲載された。これはヤミ族の柱立て儀礼をとおして、親柱を立てることが中心の場所を構成することと関わることを論じたものである。11月から3月にかけては夏の調査で収集した資料を読み込み、新たな調査の準備を進めた。
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