本年度は主として、1)研究システムの整備、2)CGデータによる分析、3)造形理論の分析、4)CGデータによる分析と造形理論の対照を行った。 1.研究システムの整備 既存のCG画像作成用のワークステーションおよびパソコンのシステムに、新規購入のワークステーションを接続し、研究環境の整備を行った。 2.CGデータによる分析 H.マイヤーの1920年代の作品について、出版資料による図面・写真資料の収集・整理を行い、そのデータを基にCADを用いCG作成用図面を作成した。そして、ドイツ建築博物館(フランクフルトa.M.)とデッサウ・バウハウス財団(デッサウ)において資料の閲覧・収集を行い、未出版の図面情報を把握した。それらの資料を基に、H.マイヤーの代表作であるADGB労働者銀行とペータース・シューレについて設計過程案についてCGデータを作成し、静止画・動画の作成と分析を行った。 3.造形理論の分析 造形の分析と平行し、造形理論の分析を行った。出版資料によるマイヤー自身の論文等の収集・整理し、収集資料を基にマイヤーの造形理論を明らかにした。 4.CGデータによる分析と造形理論の対照 作成したCGデータの分析結果と造形理論の対照を行った結果、特にペータース・シューレにおいては動線を強調する造形意図と構成主義的な表現意図があったこと、ADGB労働者銀行においては、マイヤー自身の普遍的な造形手法を用いながら、敷地の特徴を活かし人間の心理的効果に着目した設計を行っていたことが明らかになった。
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