本年度においては、精密にサイズ・形態が制御された単分散チタニア粒子の合成を試みた。チタンイソプロポキシドにトリエタノールアミンを添加し、室温で加水分解が進行しない安定な錯体を形成、100℃で経時することにより水酸化チタンゲルを得た。このゲルを耐食仕様型オートクレーブ中、140℃で経時することにより、アナターゼ型の単分散チタニア粒子を合成した。この反応進行時に、オレイン酸ナトリウムや各種アミン類等の吸着物質を共存させることによって、各結晶面の成長速度を変化させることにより、エリプソイド状や立方体状のチタニア粒子を得た。また、pH2付近の酸性域でチタンイソプロポキシドを瞬時に加水分解、さらに水熱処理する事により5nm前後の超微細粒子を合成した。この粒子をチタニア粒子の反応系内に添加することにより、新たなチタニア粒子生成の種結晶として作用させ、生成する粒子の単分散化とナノオーダーでのサイズ制御を可能とした。この際、粒子の形態は種結晶を用いない場合と同様に保ち、サイズだけを変化させることも可能であった。また、金属アルコキシドの加水分解により合成した水和チタニアの加熱により、それぞれアモルファス、アナターゼ型、ルチル型の単分散球状チタニア粒子の合成を可能とした。これらの粒子は、チタニア粒子のサイズ・形態・結晶相・結晶面等が光触媒活性に与える影響を調べるためのモデル物質として最適な試料であり、今後、光触媒活性試験を通してそれらの関係を明らかにすることが可能である。
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