研究概要 |
本研究は、LaCuOCh(Ch=S,Se,Te)の光学的・電気的物性を系統的に理解することを狙い、LaCuOSと同一の結晶構造をもつLaCuOTeを合成し、その基本的な物性を調べることを目的とした。LaCuOTeは1998年にその相の存在が報告され、電子物性の報告は現在ほとんどない。しかし、今までの我々のLaCuOCh(Ch=S,Se)の研究結果を考慮すると、本物質においても興味ある光・電気・磁気的特性が得られる可能性は非常に高いと考えられる。本研究では、本物質の合成方法を確立し、簡単な光・電気的測定を行うことを目指した。更に、バンド計算を行い、その電子構造を調べることも目的とした。アニオンが2つあるということからも推測されるように、合成方法はそれほど簡単ではなかったが、2段階の熱処理により、単相のサンプルを得られることが明らかになった。一方、簡単な光・電気的測定に関しては、オキシ硫化物やオキシセレン化物と同様なp型半導体であったが、そのギャップは硫化物、セレン化物、テルル化物の順に小さかった。更に、光学遷移による発光を示さず、バンド計算からは、直接型のエネルギーギャップではなく、間接型のエネルギーギャップを持つことがわかった。以前までの研究と本研究から、一連のオキシカルコゲナイドLaCuOCh(Ch=S,Se,Te)は、いずれもワイドギャップp型半導体であるが、オキシテルル化物のみが間接ギャプであることが明らかになった。これらの成果の詳細は、論文にまとめ、J.Phys.Condens.Matterに印刷された。
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