研究概要 |
マグネシウムに対してわずかな添加元素による多元化で生じる周期構造の変化を強化因子とする事で高比強度・高延性マグネシウム合金を創製する事を目的として研究を行った。マグネシウムにZn(亜鉛)を1at%およびY(イットリウム)を2at%添加する事により、18R-Typeおよび14H-Typeの長周期構造が体積率で25%程度生成する事が明らかとなった。さらにこのような長周期構造はY以外の希土類元素(Gd, Dy, Ho, Tb,)で置換したMg_<97>Zn_1RE_2(at%)合金においても生成しする事が明らかとなった。これらは従来のマグネシウム合金の2周期構造と比較して、7〜9倍の長周期を有しており、添加元素であるZnおよびYが6周期または7周期ごとに有効的に配列する事により生成し、工学的に応用するための充分な安定性を有する相であった。また、この長周期構造は純マグネシウムと比較して高い硬さを有していた。作製したMg_<97>Zn_1Y_2(at%)合金について773Kの熱間圧延を行ったところ77%の圧延が可能であった。この圧延材について室温〜473Kまでの温度範囲で引張試験を行った結果、塑性伸びは1%以下であったが、いずれの温度域でにおいても180MPa以上の降伏強度を維持しており、従来の高温で使用されるマグネシウム合金ZK材およびZE材(ZK材およびZE材では473Kでおよそ100MPa程度)と比較して高い降伏強度を有する事が明らかとなった。なお上記の結果は第133回日本金属学会において3報の報告をし、また今春に開かれる134回日本金属学会においても2報の報告を予定している。
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