超伝導相分散Zr_<55>Al_<10>Cu_<30>Ni_5バルク金属ガラス中の臨界温度Tc=約3Kの超伝導相を解明し、その超伝導特性を明らかにすることを試みた。金属ガラスは、結晶化開始温度Tx以上では結晶化が起こる。この結晶化過程において、Zr_<55>Al_<10>Cu_<30>Ni_5金属ガラスの場合、金属ガラス中に核生成される幾つかの結晶の中で超伝導特性を示す合金が含まれる可能性があると考えられる。本研究では、Zr_<55>Al_<10>Cu_<30>Ni_5バルク金属ガラスを温度Tx近傍で熱処理した後、熱処理を行なったZr_<55>Al_<10>Cu<30>Ni_5のX線回折法による結晶構造解析、TEMによる組織観察、四端子方法による電気抵抗測定等から、超伝導特性を発現する結晶相の同定を行なった。本研究により、超伝導相分散Zr_<55>Al_<10>Cu_<30>Ni_5バルク金属ガラスの約3Kでの超伝導現象は金属ガラス中のZr_2Ni相により発現していることを示唆する結果が得られた。Zr_2NiがTc=2.7Kの超伝導合金であることがわかった。また、Zr_2Niが超伝導特性を示すためには合金中に固溶する酸素量が重要なパラメータであることがわかった。Zr_2Ni合金は酸素と固溶して超伝導特性を示すと考えられる。
|