研究概要 |
焼結における固体間反での通電の影響を明らかにするため,通電および無通電状況下でのAl_2O_3-CaAl_4O_7の反応時間を変えた試料について,CaAl_<12>O_<19>の反応率の変化から両者の違いに付いて検討した.パルス通電は従来のパルス通電焼結装置(SPS)を用い,無通電の試料の反応は,パルス通電を行ったものと同条件の温度に設定した炉内で所定時間行った.生成したCaAl_<12>O_<19>をX線粉末回折により定量評価した.反応率は,固相-気相間での反応に用いられるCarterの解析法をAl_2O_3の粒径をCaAl_4O_7に比べて十分大きくすることでAl_2O_3を気相に相当すると仮定し適応した.その結果,パルス通電の影響は,反応が急激に進行するまでの潜伏時間の短縮に現れたが,反応の進行速度にはパルス通電の影響は見られなかった.この原因のひとつとして,パルス通電焼結装置では構造上,約30MPaの負荷が試料にかかっており,試料の相対密度が反応初期から高いことが考えられる. 次年度以降,パルス通電の影響をより正確に見積もるため,無負荷状態でのパルス通電を行った固体間反応を赤外炉内で行うことを検討している.従来の装置でみられる急速な昇温過程を模擬しながら,試料を直流分極またはパルス通電による分極を行い,反応開始までの潜伏時間の短縮に及ぼすパルス通電の影響を明らかにするとともに,パルス波形を変化させることで,パルス周波数,波形の影響について検討する.
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