研究概要 |
パルス通電焼結法は高速で緻密な焼結体が得られ,消費電力が少なく,非常に生産性が高いため,さまざまな酸化物焼結体の作製に利用されている.しかし,パルス通電による焼結促進については,装置の構造上,負荷される荷重の影響を除外することができず,パルス印加に起因する焼結の促進等については詳細な検討が行われていない.本年度は,焼結組織に及ぼす影響について検討するにあたり,従来のパルス通電焼結(SPS)装置で構造上付加される荷重の影響を除外するため,SPS装置を用いず,荷重以外の急速加熱,およびパルス通電条件を再現できる装置についての検討を進めた.また,パルス通電により得られた焼結体について,組織観察および導電率等の評価に加えて,焼結した酸化物の反応特性に着目し,電気化学的に評価することが焼結体の工業的利用にあたって有益であると考えた.また,固体酸化物燃料電池に用いられる電極および電解質材料をターゲットとすべく,対象物質の選定を中心に研究を進めた.酸化物電極の電極反応特性の評価方法の検討のため,酸化物電極/酸化物電解質/金属電極からなるセルを構成し,酸化物電極上での反応をその分極曲線の解析から決定した.来年度は,プロトン導電体および酸化物イオン導電体を中心として,急速加熱,無負荷でパルス通電を行い,パルス条件による組織形態の変化およびその物質自体の反応特性を電気化学的に検討し,パルス通電の影響を明らかにする.
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