研究概要 |
本年度は,仮説「Cl-消費がボトムアップ堆積の支配的要因」の実証を目指し、SPS存在下におけるCl-濃度とめっき抑制効果との関係の把握を目指した。 現在,ボトムアップ堆積を説明する理論として,Moffat等が提唱するCEAC(めっき面の曲率が小さいところで促進剤の被覆率が増加するとするモデル)が主流である.このモデルでは,促進剤はめっき中も銅中に取り込まれることなく,めっき面に残存すると考えている.この効果を確認するために,促進剤であるSPSのみを添加しためっき液に電極を浸し,その後,抑制剤のみを添加しためっき液中でめっきを行った.この結果,良く成功が維持されることがわかり,Moffat等が提唱するCEACがある程度正当であることがわかった. しかしながら,PEG-Cl-SPSを含むスーパーフィリングめっき浴でパターン付チップにめっきを施し,めっき進展の様子を観察したところ,ボトムアップ効果はCl濃度に大きく依存し,特にCl-低濃度時にはCl-消費モデルを支持する結果が見られた.SIMSや回転リング・ディスク電極により,Cl-消費の定量的把握を試みたところ,10-6mol/cm2程度のCl-消費があることがわかり,Cl-の消費が何らかの影響をおよぼしていることが予想された. 今後は,SPSとCl-のめっき面への競争的吸着に注目して,研究を進める必要があることがわかった.
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