レーザードレッシングを施した表面を、砥石表面トポグラフィーに着目してメカニカルドレッシングしたそれと比較すると、レーザー法は砥粒脱落無しにドレッシングできることから砥粒分布を初期の状態に保てる点に最も利点を見出せる。これは被削材の研削面精度が砥石の設計値に近い値で達成できる事を意味する。これに対しメカニカルドレッシングを施した砥石は、ドレッシング中に脱落砥粒を伴い深さ方向の砥粒切れ刃密度が低下する。これら砥粒数、および砥粒分布の差は被削材表面に形成される溝数と形状に直接的に表れる。すなわちレーザードレッシングを施した砥石の方がより高精度な研削面を生成することが可能である。 また、レーザー照射後多孔質母材の表面粗さは増し、深さ方向に広がる。これは走査型電子顕微鏡観察の結果から、鋳鉄母材表面に形成される数十μm程度の突起に起因していることが分かっている。このレーザー処理した母材表面は、その形状から研削によって容易に変形する。結果レーザードレッシングを施した砥石では、研削後平均砥粒突き出し高さの増加が見られる。これに対しメカニカルドレッシングを施した砥石は、レーザーのそれに比べてより平坦な母材表面を有し、またドレッシングによる加工硬化も伴って、母材は研削によって容易に変形しない。結果、レーザードレッシングを施した砥石は法線方向の研削圧力の増加に伴い母材が変形し、砥粒の突き出しと共に被削材への切り込み量が増すが、メカニカルドレッシングを施した砥石では砥粒の切り込み量はドレッシング直後最大となりあとは砥粒脱落に伴い減少していく。すなわちレーザードレッシングによって、より高能率な研削を可能とする砥石表面が得られることが示された。
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