研究概要 |
1.三種類の分子量を持つ市販のポリスチレンを用いて,二軸押出機を用いた溶融混練によるポリスチレン/クレー系ナノコンポジットの作製を試みた。X線回折結果から,ポリスチレン分子のクレープレート間のインターカレーションを示すピークと,クレープレート中の有機アンモニウムイオンが混練中の粘性発熱により溶け出したことによりクレープレートが再凝集したことによると考えられるピークの,二つのピークが観察された。この傾向は,ポリスチレンの分子量に関係なく見られた。さらに,引張試験と衝撃試験を行い,クレーの含有量が増えることによりヤング率の増加が見られたが,完全そう剥離型ナノコンポジットで見られる弾性率の過剰な増加は見られず,ポリスチレン分子量の影響も見られなかった。衝撃強度は,クレーの含有量とともに減少したが,ポリスチレン分子量が大きいほど,その減少の割合は小さくなった。 2.クレープレート間にある有機アンモニウムイオンの異なる複数の有機変性クレーを用いて,二軸押出機を用いた溶融混練によるポリスチレン/クレー系ナノコンポジットを作製した。添加により完全そう剥離型ナノコンポジットが得られることが報告されているオキサゾリン変性ポリスチレンを添加させた場合,有機変性クレーのプレート間にある有機アンモニウムイオンの種類により引張特性が異なることがわかった。引張特性の有機変性クレーの層間距離依存性は,今回の実験結果からは明確に捉えることはできなかった。 3.スクリュデザインによる影響の検討を行う予定であったが,セグメント式スクリュの製作が大幅に遅れたため,平成15年度中の実施はできなかった。スクリュデザインによる影響の検討は平成16年度に実施する。
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