研究概要 |
超音波霧化分離に及ぼす液物性の影響を実験的に検討した。サンプルにはアルコール(メタノール、エタノール、1-プロパノール、プロピレングリコール、グリセリン)、アミド(ホルムアミド、アセトアミド)、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸)、無機塩(Li_2SO_4,Na_2SO_4,K_2SO_4,Rb_2SO_4,Cs_2SO_4)水溶液を用いた。装置は、底部中央に超音波振動子(直径20mm)を付けた透明塩化ビニル製の円筒形容器(直径100mm)、恒温槽からなる。超音波周波数は2.4MHz、入力電力は18Wとした。霧化液滴を同伴させるためにキャリアガス(空気)を流した。溶液温度を283Kとした。実験の前後で溶液濃度を測定し、物質収支から霧化液中の溶質濃度を求めた。 1価アルコール(メタノール、エタノール、1-プロパノール)は、霧化液中に溶質が濃縮され、濃度はメタノール<エタノール<1-プロパノールの順に高かった。しかしながら、多価アルコール(プロピレングリコール、グリセリン)は霧化液中に溶質が希薄化され、特にグリセリンの場合は霧化液中には水のみが含まれていた。このことから、溶質分子の親水性、疎水性の挙動が超音波霧分離挙動を支配していると考えられる。一方、カルボン酸、無機塩はすべて溶液濃度と霧化液濃度が同じであった。水溶液中でイオン化する溶質分子は、超音波霧化によって分離できないことが明らかとなった。また、霧化発生量は粘度が高くなるほど、低くなった。これは、粘度が高いほど、液が変形しにくくなるためと考えられる。
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