研究概要 |
本研究では,界面活性剤が構築する分子集合体を利用したゼオライトナノクリスタルの調製を目的としている.ゼオライトとしては,MFI型であるシリカライトとZSM-5のゼオライトの調製を試みた.テトラプロピルアンモニウム水酸化物をMFI型ゼオライト調製のためのテンプレートに用い,珪酸エチルとテンプレートから成るゼオライト合成水溶液を界面活性剤/有機溶媒溶液に滴下した.この溶液をオートクレーブに移し,100℃〜160℃の水熱処理を施した.さらに,ゼオライト合成溶液にアルミニウムイオンを添加し,固体酸性を付与することを検討した。 親水基のイオン性の異なる界面活性剤を用いて調製を行ったところ,非イオン性界面活性剤を用いたとき粒子径が約120nmのシリカライトナノクリスタルの合成に成功した.また,珪酸エチル濃度,テンプレート量を変化させることにより,粒子径を80nm〜200nmの範囲で制御することができた.珪酸エチル,テンプレート量を変化させることにより,水熱合成初期に生成する核の数が変化し,さらにゼオライト核の凝集が界面活性剤によって抑制されたため,単分散なゼオライトナノクリスタルが生成したと考えられる.調製した試料の結晶性をX線回折法,窒素吸着法で評価したところ,アモルファス相が存在しない結晶性の良いナノクリスタルであることが明らかとなった.さらに,水熱合成溶液に硝酸アルミニウムを添加し,固体酸性の賦与を検討した.その結果,モル比Si/Al=50で,粒子径が約200nmのZSM-5ナノクリスタルの調製に成功した.アンモニアTPDの結果,調製したZSM-5ナノクリスタルが固体酸性を有していることが明らかとなった.
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