本研究の目的は液相法合成ナノ粒子(および分散剤)を、エレクトロスプレーにより孤立した凝集していない状態で気中に浮遊させ、エアロゾル計測装置を用いて粒径分布の計測および分散剤を定量的に分析するシステムを完成させることである。粒径が小さくなればなるほど(20nm以下)、その計測における分散剤の影響が大きくなると考えられることから、気中に浮遊する孤立した粒子から分散剤を除去することが重要な研究対象となり、分散剤フリー粒子を発生させ、その粒径分布を高精度で計測することを着目した。平成15年度には、以下のような研究項目を実施した。 1)液相法合成場からのオンライン計測が可能な、溶液用ポンプとリンクさせたエレクトロスプレーチャンバーを試作した。微分型静電分級装置の出口から分級された帯電ナノ粒子をできるだけ低濃度まで計測できるように、計数カウンターとして最も低い電流(約10^<-17>A)が計測できるエレクトロメータを用いた。 2)粒子の平均径および分布がわかっている市販の金コロイド(20nm程度)を含む水溶液をスプレーすることにより液滴とし、液滴を乾燥させた。その後、加熱により粒子表面の分散剤を除去したサンプルを微分型静電分級装置に導入して、ナノ粒子の電気移動度分布(モビリティ)を求めた。このモビリティ分布より粒子の粒径分布を求め、高分解透過型電子顕微鏡の計測結果と比較検討を行った。 3)本計測システムが有効となるよう、エレクトロスプレー装置、微分型静電分級装置、エレクトロメータの改良を行った。 4)確立された計測システムを用いて、研究室で調製する化学沈澱法により生成された分散剤を含む金(Au)およびSiO_2のナノ粒子(5-10nm程度)の計測を行い、粒子の生成条件、時間によるナノ粒子の粒子径分布とともに分散剤の被覆条件を明らかにした。
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