限外ろ過膜と逆浸透膜の丁度中間の大きさの細孔を有する膜をナノろ過膜と呼び、その細孔径の大きさから、有機塩素化合物、農薬類、VOC類の除去など水処理や空気浄化に期待されている。現在、ナノろ過膜の素材として、ポリアミド系樹脂が一般に研究されているが、耐熱性が40℃までしかないことや、耐有機溶媒性に乏しいことから、使用可能な分離プロセスが限定される。そこで、本研究では、細孔径や細孔構造が制御可能な「周期的均一ナノ細孔を有するシリカ」に着目し、その薄膜化を行い、新規な分離プロセスを構築することを目的とする。 従来の浸漬法を用いて製膜した膜は支持体内への原料溶液の浸透と表面への生成物の堆積により膜厚が約50μmと大きく、透過流速が小さいという問題点があった。そこで膜の薄膜化を目指し、支持体の表面処理の工夫を行った。 これまでゾルゲルで製作した膜は、耐湿性に乏しく、数日間の大気中保存下で周期構造の破壊が見られた。しかし、トリメチルクロロシラン蒸気を用いて比較的高温の400℃で疎水化処理することによって耐湿性が著しく向上した。また、表面処理した支持体を用いて、3次元細孔構造をもつMCM-48膜を合成した。無機ガス透過実験を行い、粘性流を引き起こすようなピンホール・クラックが存在しないことを確認した。
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