研究概要 |
ハイドロタルサイトを前駆体とし固相晶析法により調製した高分散担持Ni触媒を用いてプロパン水蒸気改質反応を行い、活性、選択性を検討した。前駆体であるハイドロタルサイト中の二価元素と三価元素の比は、3:1とした。さらに第二の活性金属成分としてPt, Au, Rh, Ru, Pdを担持した触媒も調製し、検討を行った。 固相晶析法で調製した触媒は、一般的な触媒調製法である含浸法で調製した触媒よりも安定かつ高い活性を示した。また、炭素析出量も少なかった。これは、固相晶析法で調製した触媒上に担持されたNiの分散性が含浸法で調製された触媒上よりも高分散且つ安定に担持されているためだと考えられる。還元温度の影響を検討したところ1073Kで還元した触媒よりも1173Kで還元した触媒の法が高い活性を示した。還元温度を高くすることによって触媒内部に固溶していたNiカチオン種が還元され触媒表面により多く存在するようになったためと考えられる。空間速度が高い(19.2Lh^<-1>g^<-1>)反応条件では、活性が高い触媒ほど、合成ガスの収率が高く、C_2水素などクラッキング生成物の生成が低下した。活性が高い触媒では、クラッキングによって生成したプロパンに比べて反応性に乏しいメタンやC_2炭化水素の水蒸気改質活性も相対的に高いためであると考えられる。 第二成分として貴金属を微量(0.3wt%)添加した系では、いずれの場合もNiのみの系と比較して活性に顕著な差は見られなかったが、反応後の炭素析出量は、若干低下した。貴金属とNiの協奏効果を発揮させるためにさらに添加方法に工夫が必要である。
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