研究課題
MgサイトにNiが置換されたMg-Alハイドロタルサイト前駆体を経由して、固相晶析法によりspc-Ni/MgAl触媒(Ni担持量16.3wt%)を調製し、プロパン水蒸気改質反応について検討を行った。(Ni+Mg)/Al比を1〜5とし検討したところ(Ni+Mg)/Al比=3の触媒が最も高い活性を示した。spc-Ni/MgAl触媒の前駆体では、Ni^<2+>はMg^<2+>サイトと置換してハイドロタルサイト中に均一に分散された。(Ni+Mg)/Al比=3のとき、最も結晶性のよいハイドロタルサイトが形成されており、前駆体中でNi種が最も高分散されていると考えられる。焼成後では、Al^<3+>が固溶したMg-Ni-O固溶体が形成した。Mg-Ni-O固溶体中にAl^<3+>が固溶することにより、Mg-Ni-O固溶体中のNi種が還元されやすくなることが分かった。spc-Ni/MgAlが最も高いNi金属分散度を示した。このように、spc-Ni/MgAl触媒上ではNi金属粒子が高分散担持されており、これが高活性の要因であると結論した。次に最も高い活性を示したspc-Ni/Mg-Alについて、第二成分としてRuおよびRhを加えた触媒を調製し検討を行った。第二成分の添加方法としては、ハイドロタルサイト調製時に同時に金属塩を滴下する共沈法および、一度ハイドロタルサイトを調製した後に、第二成分金属塩を含む溶液に調製済みのハイドロタルサイトを含浸させる逐次含浸法で行った。RuおよびRhの添加量は、0.5wt%とした。いずれの第二成分を添加した場合にも、また添加方法によらず、spc-Ni/MgAl触媒と比較して水素生成速度は、ほぼ同等であり一方、炭素析出量については、若干増加する傾向が見られた。また、活性が高い触媒ほど合成ガス選択性が高く、C_2炭化水素およびCH_4の選択性が低い傾向が見られた。プロパンの水蒸気改質反応は、いずれの触媒系でもプロパンのクラッキングによりC_2炭化水素およびCH_4が生成し、次いでこれらが改質反応により合成ガス等を生成する反応経路が主であると推定される。改質反応に十分な活性を示さない触媒では、プロパンより安定なC_2炭化水素およびCH_4の改質が進行せず、結果として合成ガスへの選択性(≒水素生成速度)が低下したと考えられる。
すべて 2005 2004
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Applied Catalysis, A : General 279
ページ: 41-51
Catalysis Communications 5
ページ: 209-213