研究概要 |
本年度では、Si/Al比の異なるFe含有ZSM-5ゼオライト(Fe/ZSM-5)触媒を合成し,各種の分子分光法を駆使してその局所構造の原子・分子レベルでの解明を行うとともに,N_2Oの光触媒分解反応について検討した。Si/Al比が低いFe含有ZSM-5ゼオライト触媒は,Si/Al比が高いものに比べ,高い光触媒活性を有するとともに,N_2Oを化学量論的にN_2とO_2に分解することを見いだした。また.Si/Al比の異なるFe含有ZSM-5ゼオライト触媒において.真空排気前処理時の排気温度を上げることにより光触媒反応活性が向上し,特に,Si/Al比の低い触媒において著しい活性の向上が起こることを見いだし,この原因がSi/Al比が低い触媒においてはFeイオンがゼオライト骨格のAlと強く相互作用しておりこの相互作用が酸化鉄種の光触媒反応活性に極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、N2Oにメタンやプロパンなどの炭化水素ガスを共存させることで、Fe含有ZSM-5ゼオライトで炭化水素の酸化反応が生成することを明らかにした。また、同様の光触媒反応がAg含有ZSM-5ゼオライト上でも進行することが明らかとなった。各種の分子分光法によりAg含有ZSM-5ゼオライト上のAgイオンの局所構造について検討した結果、原子レベルで孤立高分散した2配位状態のAg^+イオンが本反応の活性種であることを明らかにした。
|