研究概要 |
本年度では、脱Al処理を行ったBetaゼオライトにCVD法によりFeイオンを導入し(CVD-Fe/de-Al-Beta)、各種の分子分光法を駆使してその局所構造の原子・分子レベルでの解明を行うとともに,CH_4の共存下におけるN_2Oの光触媒分解反応について検討した。CVD-Fe/de-Al-Betaは、脱Al処理前のBetaゼオライトにCVD法でFeを導入した触媒(CVD-Fe/Beta)に比較して、Fe酸化物種が四配位Fe^<3+>種としてより高分散状態で担持されていることが、XAFSおよびESR測定により明らかとなった。これら、Fe含有Beta触媒を700℃以上の高温で真空排気処理すると、CVD-Fe/de-Al-Beta触媒の場合四配位Fe^<3+>種が高分散なFe^<2+>種に還元されるが、CVD-Fe/Betaの場合、Fe_<2+>種の凝集が進行することがわかった。これらの結果は、CVD-Fe/de-Al-Betaでは、脱Al処理により生じたヒドロキシルネスト上にFe^<3+>種が高分散状態で固定化されており、高温での真空排気処理による還元後においてもFe^<2+>種の分散性が保持されることを示唆している。これら、Fe含有触媒上でのCH_4存在下におけるN_2Oの光触媒分解反応について検討した結果、Fe^<2+>種が高分散状態で存在するCVD-Fe/de-Al-Beta上でN_2OのCH_4による還元反応が進行し、N_2とCO_2等の酸化生成物の生成が確認できた。これら反応は、高分散なFe^<2+>酸化物種のUV吸収領域(λ<300nm)の光励起により進行することから、高分散Fe^<2+>種を活性種としてN_2OのCH_4による還元反応が進行することが示唆された。このように、CVD法を適用した簡便なポストシンセシス法により、高活性なFe/ゼオライト系光触媒の構築が可能となることを明らかにした。
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