本研究は、マクロからミクロへのインターフェースとして電気泳動の原理を利用し核酸を濃縮する方法の開発を目的とした。具体的には、mLおよびサブmLオーダーのサンプル量から核酸を電気泳動により微少な透析膜上へ補修する技術の開発を行った。具体的には、サンプルを入れる容器に透析膜を被覆した微少スポットに、電気泳動の原理を利用して核酸を濃縮することを検討した。平成15年度において検討した核酸の濃縮条件を踏まえて96穴プレート用および電気泳動チップ用の装置を設計し、電気泳動により透析膜上に核酸を濃縮するシステムを試作した。核酸濃縮に用いた電気泳動システムを用いて、電気泳動の指標として用いられる色素であるキシレンシアノール、オレンジG、ブロモフェノールブルーなどを用いて濃縮条件を検討した。次に、濃縮用核酸ターゲットとして各種長さのssDNA、dsDNAをモデルターゲットとして電圧制御で核酸の濃縮条件を検討し、蛍光色素染色による評価を行った。試作した装置において、電解液や電解条件などの濃縮条件や核酸濃縮に用いることが可能な核酸の量や濃度などの条件を求め、試作した装置において核酸濃縮が可能であることが示された。また、電流制御においても同様に核酸の濃縮が可能であった。 以上のことから、電気泳動の原理を利用し、微少な透析膜上に核酸を捕集・濃縮することが可能であると示された。これより、感染症の特定遺伝子やmRNA等、サンプル中に微量に存在する核酸を濃縮して解析することが可能となると考えられる。
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