連続複数塩基ランダム置換法(RARE-COMBI法)の検討 クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子をモデル鋳型とし、3'末端近傍にミスマッチを有する合成DNAをプライマーとした相補鎖合成をPCR法で検討したところ、(1)DNAポリメラーゼは校正活性の低いものを用いる、(2)反応サイクル数を通常のPCRより長く(50サイクル)設定する、(3)25サイクル終了後にポリメラーゼを再添加する。という三つの条件を満足すれば、ミスマッチプライマーでも通常のプライマーと同様の増幅率が得られ、かつ意図したとおりの変異が導入できることを確認した。また、ミスマッチプライマーとミスマッチの無い完全アニール型プライマーを混合して競合的にPCRを行っても、そのプライマーの投入比の通りに変異DNAが出現することを確認した。 次に、クラゲ緑色蛍光タンパク質(GFP)をターゲットとして、RARE-COMBI法により特定の制限酵素認識部位を導入するというモデル実験を行った。その結果、予想した通りの変異導入が原理的に可能であることを実証できた。しかしながら、変異導入効率は5%程度と低いため、更なる改良が必要である。 ホスホリパーゼD(PLD)の機能改変 RARE-COMBI法が未完成であったため、既存の方法によりPLD遺伝子のコンビナトリアルライブラリを構築した。また、人工リン脂質であるホスファチジルナフトール類を合成基質とした簡便なハイスループット検出法を確立した。この検出法を用いて野生型酵素では本来活性を示さない人工リン脂質であるホスファチジル-1-ナフトールに対してスクリーニングを行ったところ、それを分解する能力を獲得した変異型PLDを取得することに成功した。
|