研究概要 |
DNAコンジュゲートという新しいプローブ物質を用いたキャピラリー電気泳動システムを構築し、従来に無い原理に基づく遺伝子分離検出の新概念(Probe-Regulated Simultaneous Separation, PRESS)を提案した。本新規遺伝子検出法は、複数のDNAコンジュゲートプローブが標的遺伝子を特異的に捕捉し、各標的遺伝子-DNAコンジュゲートプローブ複合体が異なる時間に検出されるという従来に無いアプローチに基づいている。まず初めに、DNAコンジュゲートプローブの泳動挙動の検討を行った。その結果、オリゴヌクレオチドのグラフト量が異なるDNAコンジュゲートプローブ(-(5'-GCCACCAGC-3')_m-AAm_n-及び-(5'-TGTGTGT GT-3')_p-AAm_q-)の泳動速度に差が生じる事を見出した。これは、オリゴヌクレオチドのグラフト量が異なる事によって荷電/質量比に差が生じたためであると考えられる。そこでこれらのプローブを用い、キャピラリー電気泳動法による複数の同鎖長オリゴヌクレオチド(5'-GCTGGTGGC-3'及び5'-ACACACACA-3')の分離検出を検討した。通常のキャピラリー電気泳動法を用いた場合、二種類の標的オリゴヌクレオチドの泳動時間に差は無く、分離検出は不可能であった。しかし、二種類の標的オリゴヌクレオチドの混合溶液を分離検出する為に一種類のDNAコンジュゲートプローブを用いた場合には、各標的オリゴヌクレオチドが相補的なDNAコンジュゲートプローブと特異的に二本鎖を形成し、異なる泳動時間に検出される事を見出した。そこで、これらの二種類のDNAコンジュゲートプローブを用いたPRESS法を適用した結果、同鎖長オリゴヌクレオチドを特異的に同時分離検出する事に成功した。
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