研究概要 |
本研究の目的は,破断を考慮した終局状態でのより発展的な構造部材の性能評価を有限要素法によって行うことである.従来の固体・構造の有限要素解析においては,計算メッシュが物質点の変形に追従するLagrangian解法が用いられてきた.しかし,Lagrangian解法による有限要素解析では,二重節点などの特別な方法を用いない限り,固体の破断そのもののシミュレートは不可能である.計算メッシュが物質点の変形に追従するLagrangian解法に対して,Eulerian解法では空間に固定された計算メッシュを越えて物質点が移動する.Eulerian解法を用いた有限要素解析を行うことによって,特別な方法を導入することなく自由境界面の生成が実現でき,結果的に破断等のシミュレートが可能となる. Eulerian解法により構造部材の破断解析を行うために,平成15年度はEulerian有限要素法による固体解析コードを開発した.この解析コードでは過去のLagrangian解法による固体解析手法のノウハウを無駄にしないために,operator split法を採用している.これは通常の固体解析と同様なLagrangian解法によるLagrangianステップにおいてメッシュを物質と共に移動させ,Eulerianステップにおいて変形したメッシュを空間に固定したメッシュに戻す操作(移流)を時間増分ごとに繰り返して解析を行うものである.本年度で開発した解析コードの有用性を金属材料の延性破断解析に適用して,Eulerian有限要素法を採用することにより新たな自由境界面を容易に生成することができ,固体解析において破断のシミュレートが可能となることを確認した.
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