PM低減システムにおける加熱部分の検討を行った。本システムは、金属フィルターを誘導加熱により、高温に加熱する。その際、温度変化に対して電気的なパラメータが変化するため、この点に留意し金属フィルターを作成しなければならない。市場価格が安価であり、しかも耐久性があり、磁性体の材質となるとステンレスに限定される。そこで、今回はステンレス鋼を金属フィルターとして採用し、今回購入した汎用高周波インバータを用いて加熱実験を行い、フィルターの形状について種々検討した。その結果、エンジン本体に負担とならない形状にするには、キュリー温度を超える際に必ず電気的なパラメータが変化した。そのため、高温加熱下での連続運転に支障を来たすので、汎用高周波インバータの回路パラメータを運転途中に調整する必要性がある。従って、これらのパラメータ変化に対して安定に駆動する電源が不可欠であることから、ソフトスイッチング動作領域が広く、なおかつ、スイッチング素子動作責務を軽減する高周波電源を提案し、回路解析を行った。 誘導加熱は電流の大振幅動作を必要とするため、主回路電源のスイッチング電流責務が厳しくなる。そこで、複合共振を用いて出力電流を大振幅化し、ソフトスイッチングによるスイッチング素子動作責務の軽減が可能となるPWM (Pulse Width Modulation)ソフトスイッチングインバータを開発した。数値解析の結果、出力電力は、100%〜5%までPWMにより、ほぼ線形に制御可能であり、また、出力最大時において、スイッチ電圧最大値およびスイッチ電流最大値が、出力電圧と出力電流より低く抑えられており、提案する回路がスイッチング素子動作責務の軽減に有効であることが示された。
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