吸水材として使用するイオン化ポリN-イソプロピルアクリルアミド(pNIPA)ゲルに対し、種々のイオン化度の異なるものを作成し、各膨潤度の違いを調べた。アクリル板で作成した恒温槽内に試料ゲルと純水で満たされたビーカーを置き、温度変化による同ゲルの体積変化を読み取り顕微鏡にて測定し、各試料ゲルの膨潤曲線を作成した。これらの結果から、イオン化度はNIPA : SA(アクリル酸ナトリウム)=15:1が適当であるとした。このゲルは温度による体積変化が約100倍であった。市販のSAP(高吸水性ポリマー)に比べれば、吸水性は劣るが、再利用という観点から見れば100倍で十分であると考える。 はじめに、吸水材ゲルパウダーを作成した。上記の試料ゲルを乾燥させながら軽く粉砕した。その後、十分乾燥した後に粉砕機で500μm以下に分けたあと、さらにふるいで粒径別に分けた。粒径別のゲルパウダーをコットンや紙などで包み、高分子ゲル吸水シートとした。 次に、試作ゲルシートの吸水及び排水機能を調べた。試作ゲルシートに十分に水を吸水させ、その後、自然乾燥させながらゲルシートの重量を測定した。自然乾燥の途中で、ゲルシートを温めることにより、ゲルシートがより早く水を排出し、シート重量が軽くなることが確認できた。これは吸水材ゲルが膨潤相から収縮相へ相転移させることによって水の排水を促せたためである。これにより、、自然乾燥より早く排水できていることが確認された。これは同時に、自然乾燥できない高湿度の時も水の排水が可能であることが示された。また、同シートに再び吸水させ同様な実験を繰り返すことにより再利用が確認できた。 しかしながら、吸水材を包むコットンや紙を工夫する必要がある。ゲルの吸水材が均一に包めないことや粒径が紙の目よりも小さすぎるとこぼれてしまうのでさらなる改良が必要である。
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