従来の動的引張強度の評価法は動的破壊プロセスが考慮されておらず、従来の手法で評価された動的引張強度は数値計算等に用いるパラメータとして十分な情報でない可能性がある。岩石の破壊実験データの収集ならびに、動的破壊過程を考慮した岩石材料の動的引張強度の再定義を目指し、実験と数値解析の両面から研究を実施した。 実験では、ホプキンソン効果を利用した岩石の破壊実験を行い、振動速度計を用いて動的荷重を受ける岩石自由面の粒子速度を観測した。同時に、高速度カメラを用いて亀裂の進展状況をリアルタイムで撮影した。高速度撮影により岩石試料に亀裂が確認される場合と、されない場合の速度波形には顕著な違いが確認された。前者の場合、自由面の変位速度波形が滑らかであるのに対して、後者では不規則な乱れが確認された。また、同一条件で複数の実験を行うことにより、次のことがわかった。同一条件下で、自由端速度履歴は再現性が高い。高速度カメラとの対応で破断の始まる時刻を推定でき、一定速度になる前の自由面速度波形に現れる擾乱は亀裂成長過程に原因する。また、岩石試料の直径の影響を把握するために、直径の異なる岩石試料を用いた動的破壊実験を行い破壊過程のデータ収集を開始した。数値解析では、爆薬にJWL状態式、水とPMMAパイプにHugoniot+Mie Gruneisenモデルを用いて離散化された流体方程式を解いた。その結果、水中衝撃波先頭形状は爆発源から30mmの位置で湾曲した形状、50mmでは平面的になるが、中心軸上で高い圧力分布が残り、70mmでは形状・分布ともに均一な衝撃波となることを明らかにした。
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