前年度までに申請者らが提案したフライアッシュの性状と生成するゼオライト結晶種の関係を予測する手法をフライアッシュ・籾殻焼却灰混合物に適用し、籾殻焼却灰の最適添加量を予測することに成功した。 また、ゼオライト合成のコスト低減を目指し、水熱合成に必要な水酸化ナトリウム水溶液のリサイクル手法についての検討を行った結果、10回程度の水酸化ナトリウム水溶液のリサイクル利用が可能であることを明らかとした。一方、水熱合成を行った後の水酸化ナトリウム水溶液にはゼオライト合成に使用されなかったアルミン酸イオンやシリケートイオンが蓄積する。この量をゼオライト反応機構の速度論解析から得られた反応速度定数から予測し、不足成分の添加・過剰成分の除去法を構築した。これにより水酸化ナトリウムのリサイクル利用条件の設定を数値計算によって容易に行えるようにした。さらに、これまでバッチ処理で行われていた本プロセスを見直し、未反応のフライアッシュや籾殻焼却灰が製品に混入することを防ぐための手法として、多段抽出に基づいた方法で連続的にゼオライトを合成しうる装置の開発を行った。これによって、水酸化ナトリウム使用量を現在の1/2以下とし、反応時間が2/3以下であっても、フィリップサイト純度90%以上の製品を生産するプロセスを開発し、焼却灰からのフィリップサイト合成プロセスの最適化を行うことに成功した。 また、ここで提案した新規な方法において、焼却灰からのゼオライト合成に関する各種の反応速度定数や結晶化速度定数を反応工学的解析によって算出し、各種条件における生成ゼオライトの結晶種とその生成挙動を予測することを可能とした。
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