本研究は、木造住宅の解体で排出される廃木材(以下、解体木材)の効率的なリサイクル・リユースを実現するため、大規模な設備と加工エネルギーを必要とするチップやパルプへのリサイクルではなく、木材としてのリユースを念頭に置いた解体木材の流通システムの構築を目指すものである。 このなかで本年度は、実際の木造住宅の解体現場において、リユース可能な木材をできるだけ多く取り出すための「手壊し解体工法」を試行し、その問題点の把握を行うとともに、様々な住宅からリユースの有効な解体木材がどれくらい採取できるのか調査を行った。これにより、「手壊し解体工法」は、通常行われでいる「分別機械解体工法」よりも手間数はかかるものの、廃棄物の仕分の手間や、最終処分に送られる廃棄物量の違いを考慮すると、十分に成立する解体工法であることが分かった。また、リユース可能な解体木材は、新築時に使用された量のおよそ50〜60%が取り出せ、現在そのほとんどが縮減(焼却)されている、これら解体木材のリユース方法を確立させれば、経済的側面からも十分に採算性のあるシステム構築が可能であることが示された。 また、得られた解体木材を、実験室に持ち帰り、強度・剛性など様々な品質について検証をおこなった。これらの結果と、解体現場で行った簡易な計測による結果とを比較し、解体現場での解体木材の品質チェック及び分別の可能性についても検討した。これにより解体木材は、腐朽の激しい材でなければ、新材と同等以上の強度性能をもつこと、特に含水率に関しては、ほとんどの材が中心部まで十分に乾燥されており、集成材のラミナをはじめ様々なリユースに適した状態であることが明らかとなった。また、解体現場での品質チェックの可能性は、検討した指標のうちタッピング法によるヤング係数測定や簡易含水率測定、ピロディン試験などで可能性が示されたが、今後も更なる研究が必要である。
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