当該研究課題の成果について国内発表6件を行った。また、オランダのELSEVIER発行の論文誌Journal of nuclear materialsに1件の論文を発表した。 初年度はプラズマ対向材料および中性子増倍材として最近注目されているベリリウム金属間化合物における重水素照射効果に関する研究を中心に行った。Be_<12>Ti及び純Be(比較材)に室温下で重水素イオンを2×10^<21>D^+/m^2照射後、昇温脱離実験を行ったところ、純Beにおける放出ピークは500K〜900Kに広く分布しており、総吸蔵量は照射量に対して83%であった。一方Be_<12>Tiでは注入されたほとんどの重水素は450K以下の温度領域で放出され、総吸蔵率も10%となり、Beと極めて異なる傾向を示すことが明らかになった。また、それぞれの試料に対して重水素イオンを打ち込みながら、透過型電子顕微鏡によるその場観察を実施した。その結果、照射量が1×10^<21>D^+/m^2を超えるとBe_<12>Ti及び純Beともに直径2nm程度の高密度のキャビティが観察されるが、純Beの場合は照射量が増加してもあまり成長が見られなかった。一方、Be_<12>Tiにおけるキャビティは照射量の増加につれて合体を伴った成長をしていき、2×10^<22>D/m^2では直径20nm以上の大きなキャビティが形成された。このことはBe_<12>TiとBeとでは形成されているキャビティの性質が異なっていることを示している。 また、新規に当該研究補助金で購入したイオン銃を高真空チャンバーに組み込み、10^<20>ions/m^2程度の高い粒子束で照射可能な装置を構築した。さらにこの装置に2000でまで加熱可能な通電加熱装置と質量分析装置を組み込んだ。次年度はこの装置系を発展させ、さまざまなプラズマ対向材料における水素同位体・ヘリウム同時照射効果に関する研究を推進していく予定である。
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