研究課題
真空紫外域でも高い量子効率が得られるシリコンフォトダイオード(AXUVD)アレイと、真空紫外域でバンドパス特性を持つ金属薄膜フィルタを組み合わせたシステムによって、プラズマ中の特定不純物からの真空紫外光強度の空間分布・時間変化に関する情報を、比較的簡便な装置で得ることを目的として、本研究を実施した。前年度までに、真空対応の小型アンプとフィルタ交換機構を含む計測システムの設計・製作、ならびにCHS装置への設置を完了したので、今年度はAl薄膜(膜厚0.2ミクロン)およびその参照用フィルタを用いた計測を、CHSの高密度NBIプラズマ(電子密度5×10^<19>m^<-3>以上、電子温度300eV程度)から放射される真空紫外光(波長17-75nm)に対して行った。参照用フィルタはAl、LiF、およびParylene樹脂の組み合わせにより作成し、この参照用データを差し引くことで真空紫外光強度の空間分布を求めた。既存の斜入射型分光器(観測波長域10〜150nm)による計測から、フィルタ透過帯域における支配的な発光種は酸素の3価ないし4価イオンであることが分かった。この計測結果から、NBI放電プラズマ中において、低電離酸素イオン不純物からの発光の空間分布の時間変化を高速に測定することができ、プラズマ中心部において発光が放電終了まで順次上昇し、酸素不純物が蓄積して行く様子を観測することができた。本成果についてはサンディエゴで開催された高温プラズマ計測に関する国際会議にて発表するとともに、Review of Scientific Instruments誌にて論文として発表した。当初1組のモジュールのみで計測を行っていたが、その後もう1組のモジュールの製作・設置も完了し、2組で計40チャンネルの計測によってより詳細な空間分布の測定が可能となっている。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (1件)
Review of Scientific Instruments Vol.75, No.10
ページ: 4142-4144