研究課題
今年度は昨年度に開発を行ったETG(電子温度勾配駆動)乱流解析用コードを用いたETG乱流の研究を推進し、以下に示す正・反転磁気シアトカマクにおけるETG乱流の特性を明らかにし、第20回IAEA核融合エネルギー会議において研究成果を発表した。正磁気シアトカマクにおけるETG乱流の特徴正磁気シアトカマクにおけるETGモードはバルーニング構造を示し、そのモード幅はp^*(規格化ラーマー半径ρUa、a:小半径)の平方根に逆比例するため、このモードが引き起こす熱輸送の飽和レベルはプラズマサイズに比例して増大する。このため、実装置パラメータ(1/p^*〜10^4)では実験的に観測される大きい輸送係数を説明できる大きい熱輸送が発生し、電子温度分布は急速に緩和し臨界安定状態に近づこうとする。正磁気シアトカマクのETG乱流では非線形状態でもバルーニング構造が維持されて、トーラス外側の弱磁場・領域はストリーマと呼ばれる小半径方向に伸びた渦構造が支配的になる。反転磁気シアトカマクにおけるETG乱流の特徴反転磁気シアトカマクのqmin面(磁気シア反転面)近傍で励起されるスラブモード的なETGモードの幅はプラズマサイズの依存性を示さず、熱輸送の飽和レベルは正磁気シアトカマクに比べて非常に小さい。反転磁気シアトカマクのETG乱流は正・負磁気シア側で定性的に異なる構造を示し、正磁気シア側ではストリーマ構造を示すのに対し、負磁気シア側では帯状流(空間的に向きが反転したポロイダル流)が形成されて乱流が抑制される。このような定性的に異なる構造形成によって熱輸送レベルはqmin面を挟んでギャップ構造を示し、電子温度分布は長時間維持される。これらの結果は、正磁気シアトカマク実験で観測される電子温度分布の硬さ、反転磁気シアトカマク実験で観測される電子輸送障壁を説明できる結果である。
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in J. Fus. Plasma Res. SERIES 6(To be published)(発表予定)
Plasma. Phys. Control. Fusion 46
ページ: B51-B62
Proceedings of 20th IAEA Fusion Energy Conference, Vilamoura, Portugal, 2004 (International Atomic Energy Agency, Vienna, 2004)
ページ: IAEA-CN-116/TH/8-1