小動物用PET用画像再構成のための基礎調査として、放射能分布を仮想し、さらに、複数の検出器ジオメトリーを仮定し、これらの検出器列の応答をモンテカルロ・シミュレーションによって求めた。この目的は、ガントリー端部における空間分解能劣化を防止するため、検出器列のDOI(Depth of Interaction)情報の取得を何段にするのが妥当であるかを決定するためである。検出器の阻止能は、CdTe検出器の阻止能を適用し、検出器視野幅は0.5mmとした。 シミュレーションによって取得した検出器列内の各検出器の検出カウントを用いて、開発を進めているEMアルゴリズムに基づいた画像再構成を行ったところ、DOI情報の取得は1段または2段で十分であることが判明した。 さらに、このEM画像再構成法の妥当性を求めるために、検出器視野幅1.2mmのCdTe検出器列について、DOI情報の取得を考慮しないで、画像再構成シミュレーションを行った。小動物用への応用可能性を鑑みて、視野領域は4.5×4.5cm^2とした。さらに、実験により現在保有している視野幅1.2mmのCdTe検出器の応答関数を求め、シミュレーション結果と比較することで画像再構成法の妥当性を評価した。 シミュレーションにおいては無限小の点線源を仮定した。このデータから画像再構成を行い、再構成した画像のプロファイルを取得した。このプロファイルの半値幅は約0.7mmであった。 このプロファイル幅と比較するため、実験により応答関数を求めた。応答関数は対抗する一対の検出器列間で直径0.6mm点線源を走査し、検出器対の同時計数率をプロットすることにより得た。 得られた応答関数の半値幅は1.0mm程度であった。この結果は、実験に用いた線源の直径が0.6mmであること、シミュレーションにおいては線源を無限小と仮定していることを考慮すると、十分妥当であると判断できる。
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