研究課題
研究代表者が所属する東大・岡教授のグループは、超臨界圧水冷却原子炉の概念を考案し、設計研究や成立性の検討を進めており、現在では国内外の多くの機関が本概念の研究を行っている。15年度は安全解析コードの整備・制御系設計、プラント事故・過渡解析、配管大破断冷却材喪失事故解析等を行った。16年度も引き続き安全評価を行った。まず、配管中小破断による冷却材喪失事故を想定した解析を行った。厳しい解析結果を与えるために、大破断の解析と同様に、「格納容器内圧高」による非常用炉心冷却系(自動減圧弁含む)信号を無視した。中小破断時は、炉心冷却に重要な役割を果たす自動減圧弁の作動信号である「システム圧力低レベル2」の検知が大破断時に比べて時間がかかるので、減圧中の最高被覆管温度が高くなることが分かった。つまり、加圧水型軽水炉(PWR)と同様に超臨界圧水冷却炉も中小破断が厳しくなることが本研究で明らかになった。しかし、最高被覆管温度は主給水管12%破断時の960℃程度であり、判断基準として用いている1260℃を余裕を持って満たした。次に、異常過渡時や事故時の機器のふるまいや安全系の作動条件を現行軽水炉との比較から合理的なモデルに見直した。タービン駆動補助給水系の起動に要する時間を現行の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)のタービン駆動原子炉隔離時冷却系と同様としたことで、炉心流量全喪失事象時に給水がゼロになる時間が生じたが、下降流水ロッド内の減速材による除熱(壁面を介した熱伝達、体積膨張による燃料チャンネルへの冷却材供給)で炉心冷却を維持できることが分かった。このように、下降流水減速棒が固体減速棒(水素化ジルコニウム等)に対して持っている安全上の利点が本研究で明らかになった。
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Proc.2004 Int.Congress of Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP'04), Pittsburg, Pennsylvania, June 13-17, 2004
ページ: No.4319
日本原子力学会2004年秋の大会 予稿集 第II分冊
ページ: 271