本研究では、近年の急速な経済発展に伴うエネルギー消費の急増によりエネルギー起源の温暖化ガス排出量の大幅な増加が懸念されている中国を研究対象地域とし、温暖化ガス削減対策の一つとして中国の都市部(北京、上海等)における民生部門のエネルギー需要家(住宅、事務所ビル、ショッピングセンター等)への、BCHP (Building Combined Heating and Power)を主とした分散型電源の導入を検討対象とし、その導入可能性及び導入効果(省エネルギー、環境負荷低減等)に関する分析を行っている。 本年度は、文献調査や現地専門家らへの聞き取りによる現状、将来見通し及び導入の障害などに関する情報収集及び定性的な分析、並びに、数値データと数理計画モデルを用いた導入効果に関する定量的な分析を行った。 北京を対象地域として、現地の専門家ら(民間、大学、行政)への聞き取り調査を行い、電気事業者の対応、系統連系ガイドラインの不備といった制度的課題等について情報収集を行った。また、定量分析としては、同じく北京のある事務所ビルのエネルギー需要データを入手し、BCHPを導入した場合の経済性、二酸化炭素排出削減量、省エネルギー量について分析を行った。 以上の分析から、BCHP導入に対して系統連系ガイドラインの不備や石炭、電力及びガス等エネルギー間の料金バランスなどといった制度的な障害が大きいこと、それらが改善されBCHP導入が進めば十分な二酸化炭素排出削減が期待できることが明らかになった。 以上
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